歯周病で歯を失ってしまう前に
歯周病は、口腔内の細菌によって引き起こされる感染症です。歯や歯茎に付着しているプラークに含まれる細菌が原因となって歯周組織に炎症を起こし、歯と歯茎の間の歯周ポケット内に細菌が入り込むと、歯を支えている歯槽骨をどんどん吸収していきます。さらに症状が進行すると歯が動揺し始め、最終的には歯が抜けてしまう恐ろしい病気です。
歯周病セルフチェック
以下の項目の中で該当するものが複数あった場合は、歯周病の可能性があります。歯周病は軽度であれば最小限の負担で治療が出来ますので、是非お早めに受診にいらしてください。
- 固い物が噛みにくい
- 歯を磨いたり固い物を食べると出血する
- 歯茎が痛い、赤く腫れている、むずがゆい
- 歯肉が歯に覆い被さるように盛り上がっている
- 朝起きた時に口の中がネバネバしている
- 歯がグラグラしている
- 歯と歯の間に隙間が空いてきた
- 歯が長くなったように感じる
- 最近口臭が気になってきた
歯周病治療に重要なことは
歯周病治療において大切なことは、以下の3つに集約されます。
歯肉炎と呼ばれる軽度の歯周病のうちは、歯石やプラーク除去によって細菌を減らし、丁寧なブラッシングを行うことによって治すことが可能です。しかし、歯周病は基本的に自覚症状がなく、ほとんどの方が自分が歯周病であることに気付けないまま症状を悪化させてしまいます。重度の歯周病ではやむなく抜歯をするしかないケースもあり、いかに日頃のケアと早期の治療が重要であるかが分かります。
そのため当院では、歯周病になってしまった場合は信頼できる歯科医院で早めに治療を受け、治療後はセルフケア・プロフェッショナルケアの両面から質の高い予防を続けることをおすすめしています。
当院で行っている歯周病治療法
日本国民の約80%が罹患していると言われる歯周病ですが、その治療法は患者様のお口の状態によって異なってきます。具体的に言うと、歯石・プラークが歯根部分まで付着している場合は簡単な外科処置を、歯周組織の炎症が奥深くまで進行している場合は骨再生治療を実施しています。
外科治療
手術によって歯石と一緒に炎症部の歯肉を切り取り、食べカスや細菌を溜まりにくくする処置を行います。歯肉が盛り上がっている場合に採用する歯肉形成術や、比較的症状が軽い歯周病に対して行う歯周ポケット掻爬(そうは)術があります。
骨再生治療
通常の歯周病治療では、残念ながら破壊された歯周組織までは回復させることができず、従来の方法では抜歯を避けられないケースも存在しました。そこで誕生したのが再生療法で、骨再生治療は失われた歯槽骨を蘇らせる画期的な治療と言えます。
歯周組織を再生するには複数の方法がありますが、当院ではエムドゲインゲルという再生剤を用いた骨再生治療を行っています。歯槽骨が大きく溶かされたケースにおいて、外科手術の際に患部にエムドゲインゲルを塗布することで、歯の発生過程と似た環境を作り出します。セメント質・歯根膜・歯槽骨といった各組織の付着・再生を促し、見栄えも良く健康的な歯肉を取り戻すことが可能です。
歯周病治療の症例紹介
症例①
この患者様は、インプラントによる歯周病治療を行いました。しかしその後、歯に汚れがついているのが確認できます。このような場合は定期的にPMTCを行うことでお口の中を健常な状態に保つことができます。(注:写真はPMTCを行う前の写真です。)
症例②
歯肉が盛り上がっており、中程度の歯周病の進行度であることが写真から分かります。このような場合は歯肉形成術などの治療を行うことで、健康的な状態の歯肉に戻ります。
症例③
歯周病が進行し、歯肉に膿が溜まっている様子が写真から分かります。このような場合は膿を取り除き、歯肉についた汚れも取り除いて歯周病を改善します。